唯一の青き時間の光の中で言葉を探しあなたに贈る
冬夕日流れる川の音に似て静かなれども街を覆う
冬が閉じ春滑り込む三月は命の息吹人のみならず
連日の北風が吹き止まらない東京砂漠拡大つづく
如月の隙間もありしカレンダー めくる夕べに歌ひとつあり
天上の風雪の音細からず激しさゆえ僕を育てる
時間には追い立てられても伸び盛りこの心と体のあらん限り
生きているという奇跡を忘れていてそれを知る不幸知らない幸福
夕暮れが西に急ぐ頃気にもせず仕事に没頭し朝日も忘れる
首都高のカーブに合わせ肩を抱けばハンドル持つ君覚めた顔する
白鷺の降りる草原鞄置き君を忘れて旅愁にひたる
一秒に遅れずに生き立派だと言われたとして理由見つからず
潮の中暮らしを紡ぎ海の男潮の香に生かされてきた
愛告げる煩わしさに告げぬ夜煩わしさに離れる心
#短歌