2023年01月18日

歌集『青き時間』15首

夜深く高速道路に月沈みひとり深夜バスの座席に眠り

唯一の青き時間の光の中で言葉を探しあなたに贈る

冬夕日流れる川の音に似て静かなれども街を覆う
 
冬が閉じ春滑り込む三月は命の息吹人のみならず

連日の北風が吹き止まらない東京砂漠拡大つづく



如月の隙間もありしカレンダー めくる夕べに歌ひとつあり

天上の風雪の音細からず激しさゆえ僕を育てる

時間には追い立てられても伸び盛りこの心と体のあらん限り

生きているという奇跡を忘れていてそれを知る不幸知らない幸福

夕暮れが西に急ぐ頃気にもせず仕事に没頭し朝日も忘れる



首都高のカーブに合わせ肩を抱けばハンドル持つ君覚めた顔する

白鷺の降りる草原鞄置き君を忘れて旅愁にひたる

一秒に遅れずに生き立派だと言われたとして理由見つからず

潮の中暮らしを紡ぎ海の男潮の香に生かされてきた

愛告げる煩わしさに告げぬ夜煩わしさに離れる心


#短歌
posted by ホーライ at 16:01| Comment(0) | 短歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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